一言で建築物の設計とはいいますが、実はその中にも色々な種類がある事は以外と知られてません。野球チームだってピッチャーもいればキャッチャーも内野も外野もいますよね。
依頼者の中には、建築家というのは全て一人で全部設計をしていると思っている人が少なくないんですが、ある限られた構造の小さな建物の場合は確かにそういうこともあるんですが、実は設計というのはいろんな人の共同作業だったりするわけです。もちろん一人で複数分野をやっている人もいますが、結構分業化が進んでいます。バッターも守備も一応はピッチャーだってできるでしょうが、本当は餅は餅屋に任せた方がよかったりするわけです。
で、どんな種類があるかというと・・・
意匠設計:いわゆる一般に設計といって思い浮かぶのはこれでしょう。どこにどんな部屋をつくるとか、どんな形の建物にするとか・・・。色んな種類の設計者が共同作業をするときでも、取りまとめ役はこの仕事の一部です。
構造設計:建物が安全に建っているように計画する人です。この土地はこれぐらい強いからこんな基礎にしようとか、柱の大きさはこうしようとか・・・。私見的には優れた建物を計画するにはその存在は不可欠だと思っています。
電気設備設計:コンセントなんかの強電と電話やテレビアンテナなんかの弱電とがあります。ある程度の規模の建物だとこの設計者がいないとお手上げです。住宅程度だと意匠設計者がやることも多いです。
機械設備設計:これは大きく二つに分かれています。衛生設備と空調換気設備です。電気と同じくある程度の規模の建物の計画には不可欠な存在ですが、住宅の場合は意匠設計者がやることもあります。衛生設備はトイレとか台所とか水をいかに流すかということを計画します。一方空調換気は室内の温度や湿度、空気の清浄度をいかに保つかを計画するものです。住宅の場合はなかなかはなから全ての空調設備を入れるなんて事は少ないですが、最近は換気設備の重要性が論じられているのはみなさん知っての通りです。
他にも大規模な造成工事がある場合は土木設計が必要ですし、庭造りには造園設計の人がいた方がいいでしょう。
施主との窓口はだいたい意匠設計者
そんな色んな人に頼むのはめんどくせーっ。
そりゃそうでしょう(笑)。
まず依頼主は意匠設計者にコンタクトをとるケースが多いと思います。一般に設計事務所と呼んでいるのはこの意匠設計事務所であることが多いからです。ドラマとかで出てくる設計事務所はだいたい意匠設計事務所でしょうね。冬のソナタのポラリスとかラストプレゼントの天海嬢とか・・・世界の中心で・・・の三浦友和はちょっと微妙だな・・・わかばのお父さんも多分そうかな。人数の多い事務所になると他の設計者も専属でいる場合もありますが、そうでない場合は必要に応じて意匠設計者が他の設計事務所に連絡して設計のチームを作ります。
ただ個人住宅で、それほど規模が大きくないときは前出の通り意匠設計者が全てやってしまうというようなケースが多いようです。ただ構造設計者だけは別にお願いした方が確実にいい建物ができると個人的には思っています。(いや本当は設備だって同じですけどね)