「俺の土地に俺がなに建てようと勝手だろうほっといてくれ!」
いやーホントその通り。それができたらどんなにいいことか・・・。
でもみんなで好き勝手したらとんでもないことになるという性悪説の元、様々な縛りがかけられてるんですねこれが。既に土地を持っている人もこれから購入予定の人も、その土地に何がどれくらい建てられるのかを確認して損はないでしょう。
字だらけですいません。
・まーず都市計画の話
目に見えるものが全てではないというのは仏教の話ですが、実は土地の上にはいろーんな目に見えない線が引かれてるんですわこれが・・・。
所有地としての境界線ももちろん線といえば線ですがわりに境界の杭とかも打ってあったりして見えやすいといえば見えやすい。しかーしそれらの線とは全く重なることなく他の見えない線が幾重にもお上によってひかれています。
第一段階!都市計画区域線。人間の顔がタヌキ顔とキツネ顔の2種類に分けられるように日本国の土地は都市計画区域とそれ以外の2つにわけられるという話ですわ。
何が違うのかって言うと公務員の皆さんの関心の高さが違います(笑)。
都市計画区域内は一生懸命指導していこう。それ以外はまー割と自由に行きましょうという風に気合が違います。
だから建築の規制は都市計画区域外というところでは割とゆるかったりします。
でもまあ残念ながら都心部は殆ど都市計画区域内に入ってると思った方がいいです。
外れている人はかなりラッキーです。早いところ家を建ててしまいましょう。
しかしながら建築に対する直接的な法律の縛りがゆるくても、それ以外の規制を何かとかけてきてる場合もあるので一応役所で確認しましょう。
で、第二段階!残念ながら都市計画区域内のかた、殆どの方はこの残念な方ですね。その都市計画区域も大きく二つに分かれます。市街化区域と市街化調整区域です。
まあいろいろと手続きをがんばらなければいけないのは、日本における建築の宿命なんですが、この区域がどっちなのかで必要ながんばりが変わってきます。
市街化調整区域の場合はいくらがんばってもなんにも建てられないというケースが少なくありません。いやむしろがんばれば家が建てられたりするのは稀なケースだと思った方がいいでしょう。だからバカ安の土地なんかはこいつだったりする事が多いです。
調整区域ってくらいなので何の調整かは知りませんがそいつが終わったら市街化区域になるんだろうなんて期待もあんまりしない方がいいでしょう。
がんばって何とかなるのかならないのか?それはがんばってみないと分からないというのが正直なところでしょう。そこのところは専門家に相談しましょう。
更に第三段階!市街化区域内には用途地域というものでまた線がひかれています。この用途地域というのが現在のところ12種類あります。現在のところというのは、最近は法律の変化が激しくてどんどん種類が増えていく傾向にあるのでまあ先のことはなんとも分からないという意味です。今のところはそうなってます。
で、それぞれの用途地域によって建てられる建物の用途が細かく決まっています。但し個人住宅については工業専用地域というところを除いてはどこにでも建てられるので、むしろ自分の土地、又は購入予定の土地がどの用途地域に属するかということは、周りにどんな用途の建物がこれから建って行くかというのを予想する手立てとして捉えた方がいいかもしれません。
また用途地域ごとに規制されるのは建物の用途だけでなくその他色々なものがあります。
・やっと用途地域の話
さーそこでやっと用途地域の登場です。それぞれに一体どんな規制があるのか?
もうこれは様々です。ぜーんぶ理解した場合建築士の試験に受かってしまいます。
ここでは大雑把な話だけを書きましょう。
一般になじみが深い話としては建蔽率と容積率がありますね。こいつは土地の面積に対して最大でどれぐらいの面積の建物が建つかをきめているものです。この両者の数字が大きいほど(大きな建物が建つほど)土地の値段も高かったりするんですが、自分も大きい建物が建てられる代わりに隣の土地にも大きな建物が建てられるということなので単純に喜んでばかりもいられません。個人住宅を建てたりする場合は、土地が高いと税金も高くなるし、隣にでっかいマンションでもたった日には目も当てられません。ずーっと住み続ける気があるならよく考えてから土地を買うなり、住宅を建てるなりしましょう。
用途地域以外にも色々な要素で建蔽率と容積率は変化しますので、正確なところを知りたい人は専門家に相談しましょう。
次に用途地域が大きく影響するのは建物の高さ制限です。斜線という言葉を耳にすることがあると思いますが、読んで字のごとく地面から目に見えない斜め線が空に向かって伸びているんです。原則建物はこの斜め線からはみ出て建てられません。どっからそんな線が出ているのか、大体斜めって角度はどうなのよ?こいつもまーいやになるくらい色々な要素で決まるんですが基本は用途地域の種類と道路の幅、それに方位という風に考えておきましょう。
その他用途地域がらみでは日影規制や、自治体が便乗して決めている条例のいろんな規制がかかってたりします。まあ個人住宅の場合は気になるところは日影規制でしょう。日影規制というのは隣の土地なんかに冬至に何時間くらい影をおとしていいのかを制限するものですが、この時間やらなんやらが用途地域ごとに決められています。規制が厳しくても悲観する必要はないです。自分が他人に日影を落とせないのと同様に、他人の建物も自分の土地に日影を落とせません。
・専門家って誰?
なんだよ結局誰かに聞かなきゃなんもわからんじゃんという声が聞こえてきそうですが、残念ながらその通りとしかいい様がないです。面目ない。
上記は土地に対する規制のホンの一部で、他にも防火地域、準防火地域、法22条区域、様々な高度地区制限、風致地区制限など挙げていけばきりがありません。
そもそも自分の土地、または買いたい土地が何の地域区域に属するのかを知りたい人は、役所に行くのが一番手っ取り早いです。結構親切に教えてくれます。福岡市なら建築指導課。その他の地域なら市役所や町役場の都市計画課というところに、調べたい土地の案内図なんかを持っていきましょう。あんまり深く追求していくとたらいまわしにされる可能性もあるのでご注意ください(笑)。
土地購入の場合は大筋のところは不動産屋が教えてくれるでしょう。
でも細かい規制の内容はやはり設計事務所に相談するのが一番いいとは思います。この法律のものすごい分かりにくさと設計事務所の敷居の高さが相乗効果になって、建売住宅の売り上げを伸ばしているんでしょうね(笑)。
恐くないので設計事務所の門をたたいて下さい。知り合いにいなければ私のところまでどうぞ。