「いったい家建てるのにはいくらかかるってんだ!」
永遠のテーマです(笑)。どうしてもこうしたいんだから金に糸目はつけねーなんて人はよっぽどの大富豪かなんかでしょう。現実には予算ってものが夢や理想とばちばちと音を立てて争って行くってーのが普通でしょう。で、具体的にいくらぐらいあれば住宅は建つかって事なんですが・・・。すいません。なんともいえません。・・・がーん。なんじゃそりゃ。ハウスメーカーは坪○十万〜なんて謳い文句でお客さん集めてたりしますが、敷地条件やどんなものを建てるのかが見えなきゃ、いくらお金がかかるなんていえるわけありません。”〜”ってところが曲者ですね。絶対これ以上はかかりますなんてのは誰でもいえるじゃーないですか。でもそんな事いったって最低限の仕様ならその坪何十万だかで建つんだろうって誰でも思っちゃいますね。でもそんなんで最後まで家が建ったなんて話は聞いたことがないっすねー。人によっては坪70万以上ないとまともな家は建ちませんよーなんていう人もいますが、これもまた人それぞれの「まとも」も違うんでどうなのかなーって思います。
何だよ結局何もわからんじゃん!って事では話はここで終わってしまうので、住宅を建てるときに一体どんな流れで工事価格が決まっていくのかを説明しようじゃーないですか。(逃げてるわけじゃーないですよ。多分・・・。)
定価?定価ってなに?
アラブ世界では定価と言う考え方はないそうですね。ある品物に対して欲しい人がいくら支払えるかを考えて、売る側が納得すればそれが品物の価格になるんだそうです。私も初めてアラブ世界を訪れたときはびっくりしましたね。いちいちなんでも買い物するのに価格交渉があって、めんどくさいめんどくさい。でもよーくかんがえると割と理にかなっているような気もします。
日本は長らく定価社会・・・のような感じできました。(最近はオープン価格とかもありますが)でも実際は定価なんて考え方は本当にあったんでしょうかね?定価で物を買う人なんて大きいデパートや一部高級店、あとは書籍とかごく一部の店舗でしかいないですよね。
建築はそう、まさにアラブ世界です。建築物をつくるのにはいろーんな材料といろーんな職人さんの力が必要なわけですが、何がいくらするのか十何年設計やってきてもさっぱりわかりません。(おいおい)これぐらいじゃないかなーっていう予測ができるくらいです。一応それぞれ定価なんてものもあったりしますが、なんじゃそりゃって感じです。掛け率とかいいますが、設計での予算組みもはなっから定価に0.8だの0.7だのをかけて考えます。しかしながらこの掛け率なんてのも購入数量や工事会社の力関係でぜーんぜん違ってきたりするので、何がいくらするのかさっぱり定まりません。それでも予定価格とか予算組みをしないで計画を進めるわけには行かないので、なにかの手がかりが必要です。そこで建築資材の何がいくらなのかっていう情報を集めた雑誌が何種類も発行されてたりします。しかーしこの雑誌の価格ですら本当の相場価格かといえばそうでなかったりもするっていう体たらくです。だからこのあたりの情報と各種メーカーからの見積もりを元に、過去の実際の工事データや社会情勢の変化なんかも考えて、経験則でもって予想金額をはじくわけです。
設計やってる人間ですらそういう状態ですから、一般の人は油断するとあっという間に高い買い物をさせられたりします(売る方も商売だからしょうがない)。またとにかく安きゃーいいんだろうって感じでむやみに値切っても、結局高い買い物になったりすることもあるのでこれまた難しい。ま、何だってそういう部分があるし、いちいち品物の価値を精査するのが面倒くさいから日本ではブランドとかがはやるんでしょうね。住宅だとハウスメーカーですか。材料を大量に調達する分原価を低くできるし、ある程度の品質の保証もあるような感じがしますもんね。でもそのせいでどこを見回しても同じような家ばっかり建ってしまって、ちょっとよそから来た人には見せたくないような町並みになってしまってるところも少なくないですよね。それがつまんないなーって思わない人で、しかも住宅はプラン云々じゃんくて部屋数だけ揃ってりゃいいよって人はハウスメーカーに頼むのも悪い選択ではないかもしれないですね。今まで怠けてた建築家がいけないんでしょうね・・・。あ、価格は材料原価が低くなった分を差し引いてもメーカーのマージンがどっぷりと乗ってますから特に安く上がるとは思わない方がいいですよー。
・工事費用決定の流れ
じゃあいったいあんたらどーしてくれるのよって人のために、設計事務所に依頼した場合のざっとした工事費用決定の流れを書いておきましょう。
大いに夢を語りましょう
まず大体設計の始まりに建主から設計者に予算と建物の大まかな要望が伝えられます。しかしまあ予算といっても、なにをどうつくればいったいいくらかかるのかようわからんってのは当たり前なので、どちらかというと建主さんの経済力を元にして、支払える金額でいっちゃっていいとおもいます。で、要望はがんがん出していきましょう。最初はお金のことなんて考えないで好き勝手なことをいいましょう。俺は一千万しか出せないけど東京タワーが建てたいんだとか、何でも夢をぶちまけてください。もし設計者がここでにこにこしてたとしても、なに言ってんだってばかにしてるんではなくて楽しいなーって思ってるだけなんで気にしなくていいです。
で、話を聞けば設計者はだんだんとどれぐらいの建物になるかが想像できてきます。まじめに、なぜ東京タワーなのかを分析して、その中の必要なソースだけを取り出してラフに案を考えたりします。実はこの段階でもおよそのコストが予想ができちゃったりしてます。しかしあくまで予想であって、様々な情報をプラスしていかなければ実際のところは分かりませんが・・・。しかしながらここで荒唐無稽な話は寿命を迎えちゃうんですかねー。ちょっとその金額では東京タワーは無理ですねって教えてもらえます。でも東京タワーのこの部分の考え方をつかって作りましょうとか提示してくれることでしょう。(どんなだ)
いや高さは333m欲しいんだとか、蝋人形を置きたいんだとかそんなやり取りが何度か繰り返されるうちに、、建て主も設計者も本当に必要なものが見えてきて、およそどれぐらいにお金がかかるものなのかも大雑把に見えてくることでしょう。
ある程度金額のめどと計画の方向性が固まってきたところで、更に細かい部分をつめていくんですが、ここで大体やり方は大きく二つに分かれると思います。同級生がいるとか昔からの顔なじみだとか、まあ理由は様々で実際に工事をする会社が既に決まっているような場合は、その会社を含めての打ち合わせを始めたりします。その場合はこの段階でも設計上の予算よりも実際に近い工事費を予測することができます。
特に工事をする会社が決まっていないような場合はもうちょっと工事会社との打ち合わせは後になります。で、細部の打ち合わせが進み、詳細を含めた図面が出来上がった段階で、何社かの工事会社に見積もりをお願いすることになります。まあ大体2社か3社ですね。絶対ここって訳ではないけど金額が合えばお願いしたいなーという工事会社はここで見積もりをお願いしましょう。で、各社いくらかかりますってのが出てくるわけなんですが、これがまあびっくりするぐらい色んな値段が出てきたりするんですねー。同じ図面でどうしてそんなに違うんだーって感じです。予想より高い場合もあれば、異常に安いなんて場合もあります。だからまあ値段だけでは工事会社を決定するなんてことはありません。もちろん安いに越したことはないので選択の重要な要素ではありますが、あくまで見積書の中身を見てじっくりと話をしたうえで工事会社を決めて行きます。
設計時の予想金額はあくまで予想の範囲に過ぎないので、ここである程度の金額の上下があることと思います。で、更にお金と図面とを照らし合わせながら建て主と設計者、工事会社の3者で実際の工事金額を時には設計の変更を含めながら決定していくというわけです。
先に出たように初めから工事会社が決まっているような場合は、この見積もりあわせという手順がないわけです。競争原理が働かないので工事金額が高めになるケースが多いです。しかしながら詳細設計を実際に工事をする人と話し合いながら進められるので、真にローコストで高品質なものを作ろうとした場合は、逆にその方がいいって事も結構あったりするのが難しいところです。