くろがねの家の秘密   

竣工写真とは別に数々の「くろがねの家」に隠された秘密をご紹介しましょう。
こういう部分は竣工写真には出てきませんが、住宅建築は単純芸術ではないのでむしろ大切な部分だと思っています^^。
特にこの家はご主人の生まれ育った家の建替えでもあったので、既存建物の材料を随所で再利用しています。コストの削減にはなりませんが元の家の存在を引き継ぐという意味でです。




子供部屋のブラインドはおのおの部屋の主に色を選んでもらいました^^。

子供であってもそういう家との関わり方が大切だと思います。
床のフローリングの蜜蝋もみんなで塗りました。

キッチンの下は風が抜けるようになっているのはいいですね^^。



南側の窓は大きいので、ブラインドは業務用を使用しています。
ややごついんですが、一番頻繁に開け閉めするところでサイズも大きいのでデザインより機能重視^^。南向きの窓は夏場ブラインドを下ろしても上部の三角窓から光を入れられます(軒があるので直射日光は入らない)。



柳川の水害は記憶に新しいところです。冠水対策として基礎の高さを通常より数十センチ上げています。
基礎のコンクリートは外断熱にしています。これでコンクリートが蓄熱体となります。
水下側には樋を設けず、既存の建物の瓦を地面に埋めて雨水の浸透升代わりに使っています。



客間とリビングの一部は床を200mm上げています。これと高基礎外断熱の合わせ技で床下に大きな収納スペースを作りました。
玄関からは→客間ORリビングORキッチンOR土間収納の4WAY動線です^^。



主寝室から床下に潜っていく謎の扉です。



実はこの床収納の一番手前から床下に潜ることも出来ます。
先ほどの扉と行き来できます^^。
残り2つは収納です。テレビ周りはゲームやら何やらスットクしたいものがたくさん出てくるはずです。



テレビ台は掃除がしやすいように半分浮いた状態です^^。
下にあるフロアコンセントはテーブルで焼肉やたこ焼きをするための電源です。



テーブルは脚を天板と固定していないので、脚の置く向きを変えると、床の段差をまたいで設置することも出来ます。天板は施主が探していらっしゃった物で、それに合わせて脚をデザインしました。この家だからこそのこの脚なわけです。
穴をあけているのは持ち運び時の重量を軽くするためで、小物入れ部分は水平剛性を高める為に設けています。T字にすることで天板を補強すること無くたわみを抑えています。



主寝室と客間の間の壁はそのまま本棚になっています。
構造壁ではないので将来壊すことも可能です。本棚は遮音壁としての効果も期待できます。
クローゼットは予算節約で建具ではなくロールスクリーンで目隠ししました。



クローゼットの裏側はご夫婦それぞれのミニ書斎になっています。
机と書棚がセットになっていますが、秘密の床下収納もあったりします^^。



主寝室のドアの上部に変なものが・・・。これは扉を引き寄せる機能がある装置で遮音に効きます。
扉を閉めた時には扉の下部から隙間ふさぎが下りて来るようにもなっています

上部につけるタイプでマグネットが効くタイプの戸当りは珍しいですね^^。



実はベッドのサイドテーブル的なものはリビング側からの複合機置場になっています(紙をストックする棚板付)。
パソコンは一人一台の時代になってもプリンターやスキャナーFAXは家族共用のはずです。
だからこそのリビング設置で施主と意見が合いました^^。



ベッドサイドテーブルの逆側にはニッチがあります。外断熱だから出来る技です。
コンセントもつけてあるので携帯が充電できます^^。夜も枕元に携帯やメガネや色々と置きたいものがありますね。
メガネ族の私は枕元にメガネがないと地震など起きた時に人生が終わる自信があります^^。



外のデッキは1階床から20cm下がっていて、高基礎で大きな段差となる1階床と地盤面との繋ぎになっています。
20cm床が上げっている部分との差40cmは座るのに丁度いい高さになっています。
本当は全開放の窓にしたいところですが、あれは恐ろしく値段が高いのです^^;。
※モデル:冨岡繁(ちなみに現場に出るときはいつも軍足着用です)



玄関踏込から土間収納に続く引戸は下部を大きく開けて通気を確保しています。
踏込と玄関は車椅子が介護で乗り越えられる程度の段を付けています。
ゼロ段差はバリアフ-リはいいんですが、土埃や落ち葉が家の中まで入って来てしまいます。



土間収納にはカッパなどの外着を吊るすパイプが付けてあります。
下足用の棚板は某ハウスメーカーの製品であとから通販で買い足せます。
棚板用の金物は家中で共通のものにしてあり予備もたっぷり準備してあります^^。



主便所の2連引き戸は開口が大きくとれて老後も安心^^。
玄関の手摺は来客も考えて最初から付けておくのがオススメです。
玄関扉の下の方についているステンレスの板はキックプレートと呼ばれるもので、足で付けてしまう傷を防止します。



押入れの引戸は大きな一枚戸です。こうした方が絶対に布団の出し入れがしやすいです。
引き手は上から下まで通してあるので小さい子でも開けられます。
上吊戸にすると戸車式に比べて大きな戸でも軽く開け閉めできます。



障子紙に見えるのはワーロンという樹脂素材です。お子さんが小さなうちはこれでなければ大変なことになるでしょう^^;。壁にはめ込んでいる欄間は既存の建物についているものを解体時に保管しておきました。



この床柱のようなものとエアコンの目隠しルーバーも既存建物玄関からの調達です。
ご主人の生まれ育った家です。思い出も一緒に持ってきました。
左側が高窓なのは、後日仏壇を置けるように考えてのことです。
掛け軸代わりに私の竣工祝オリジナルデザインパネルを飾ってみました(デザインの意味は内緒)。



子供部屋は後で2室に建具で間仕切れるように最初から上部に溝が掘ってあります。
分けた時の部屋の面積は大きくはありませんが、各自が使えるロフトスペースがあり縦方向に広さを感じられます。

火打はあえて無塗装で表しです。大きくなったらぶら下がって遊ぶであろうことを予言しておきます^^。



垂木の下に見える白い横線はピクチャーレールです。
ドア上部の壁にお子さんの作品などを掲示できます(要脚立)^^。

引戸はレールを見せないやり方もありますが、そこはお子さんが小さいので耐久性重視です。



洗濯機置場(脱衣室)の上部にステンレスのパイプが・・・。
洗濯をする人なら分かってもらえると思います。ハンガーで干すときにはこれがとっても便利^^。



脱衣の横には大きなウォークインクローゼットがあります。
家族の着替えはここに置くのが合理的^^。
片流れ屋根の高い部分を使って屋根裏収納があるのもお約束。



浴室へは脱衣からの扉の他、勝手口側から入って来れる引き戸もついています。お子さんが汚れて帰ってきても安心^^。窓からも外に設けたバスコートに出られるようになっています。
浴室乾燥機と収納式の物干し紐2本を装備しています。壁と床の仕上げは奥様のリクエストで目地のないFRP防水表し^^。



洗面所の鏡裏が収納になっていて三面鏡として使えるなんて言うのはもうお約束ですね^^。



洗面所を囲む壁はガルバリウム鋼板貼りになっていて磁石が効きます。
もう冷蔵庫の前が紙と磁石でいっぱいなんてことはありあせん^^。
実はキッチン周りに使っているステンレスも磁石が効く種類のものだったりします。
(IHではなくガスコンロの場合は危ないので近くに紙を貼るのは止めておきましょう^^;)



外部の塀が市松模様に見えるのは既存建物の外壁に使っていた杉板を再利用したからだったりします。



外壁と屋根には通気層があり(断熱層の外側で壁は防水層の外側、屋根は防水層の下側)、下から吸った空気は片流れの屋根の一番高いところから放出されます。断熱性能を高めるとともに壁や屋根の内部にたまった湿気を放出する役目もあります。これはシロアリ対策としても有効です。

キリがないのでこれぐらいで止めておきます^^;。
デザインというのは決して見てくれや形の話だけでは無いんですが(そういう考えの人も居ます^^;)、竣工写真だけでは分かってもらえないのでこんなコンテンツを作ってみました。
そもそもなんで「くろがねの家」かといえば、黒銀色の瓦を持つ建物が作る柳川の町並みを意識してのことです。
建物の規模と用途からは景観条例などにはかかりませんが、町並みを意識することは元々建っていた建物の存在を受け継いでいるという事にもなると思います。