福岡県福祉のまちづくり条例に対する意見
(2006年8月)

福岡県では福祉のまちづくり条例に関して、広く県民の意見を募集しています。私も建築士会からの募集広報を受けて意見書を提出させていただきました。よりよい条例整備を目指してこういった機会に意見を表明することは大切だと思いますので、建築士、一般の方々の枠を超えて意見を提示されてみてはいかがでしょうか。
福岡県福祉のまちづくり条例に対する意見募集について
(現在募集終了2006年8月)
以下私の投書を掲載させていただきます。

現在のように建物新築時に一律に法の規制をかけるというやり方では、その後設備が適切に維持管理されているかを把握することもできなければ、既存建物に対する改善も一向に促進されないでしょう。考え方を変えて、ある固定した基準を当てはめるのではなく、改善していけるサイクルを作り出すことが肝要だと思います。たとえば定期的に外部の監視の目を入れてみるなどの施策が有効ではないでしょうか。所有者に報告を義務化すれば経費の負担が出るし、外郭団体や民間委託は天下りの温床になりかねないので、監視を行うものはボランティアを募るのが理想だと思います(現場の声を聞いたところ、福祉関係の仕事に従事している人は特に関心が高く、無報酬であっても人員は集まるのではないかということでした)。監視というか結果報告については必要設備の維持管理に対してだけではなく、外部の目としての改善提案も含むようにしたほうがいいでしょう。法律をあくまで絶対とするのではなくケースバイケースで、臨機応変に改善していけることが重要だと思います。

例えば車椅子用便房ですが、一律に大きな転回スペースを持つものの設置を求めるわけではなく、できる範囲で、特に既存の場合は与えられたスペースの中で最大限計画するという考え方が必要ではないでしょうか。状況や環境はそれぞれ違うので、それらには絶対的な答えというものはなく、常に利用者や外部からの意見を取り入れて試行錯誤の中で改善していける状況を作り出すことが大切だと思います。

更にもう一点具体例をあげれば点字誘導ブロックですが、形状などにはスタンダードが必要と思いますが、色彩などは一律黄色と定めるのではなく、他の仕上げ材との明暗差などで識別しやすいものと規定したほうが実効性があるし、既存建物への設置を促す場合にも応用がきくと思います。(福岡県の場合は色の指定は条例上ないようですが、自治体によっては一律で指導をするところが多々あります)すべてに基準を設けて一律に規制するやり方はそろそろやめて、方法論としては次の段階に進まなければいけない時期に来ているのではないでしょうか。