建築家と建築士と設計士

世間では我々のような職業人に対して色々な呼び方がありますよねー^^。
建築家、建築士、設計士、建築デザイナーetc・・・。

その中でも建築士というのは職業というより資格の名称です。
日本では士業と言って、ある特定の業務を独占できる資格というものが存在してるんですねー。ちなみに設計士というのは資格でもなく職種に対する俗称のようなものです。

登記なら司法書士や土地家屋調査士、税務申告なら税理士といった具合で、建築設計は建築士の独占業務です。
厳密に言うと小規模の建物の場合は無資格で設計してもいいです。ただ有資格者が報酬を得て設計をするには規模に関係なく設計事務所としての登録が必要で、設計事務所登録をするには建築士の資格の他に管理建築士という資格も必要です。
だから家の庭に犬小屋を作るという場合でも、自分で図面ひいて作る分にはいいですが、事務所登録していない友達の建築士にお金渡して図面ひいてもらったら厳密には違法行為になっちゃいます^^;。まあ捕まえる人もいないでしょうけども・・・。
無資格無登録でリフォームとかしちゃってる人がいますが、工事自体は小規模なら無登録でやってもいいことになっています(建設業法上)。
でも逆に有資格者がいて、建設業登録とは関係なく設計事務所として未登録なのに設計としての報酬を別計上するとどんなに小規模であっても立派な違法行為です^^;。知らないでやってる人がいたら注意しましょう^^。

この資格名称から建築士って呼ばれることもありましたが、一般的には設計士とか建築デザイナー等のほうが以前は馴染みがあったんじゃないでしょうか?
建築家という呼称がメジャーになってきたのはつい最近のことじゃないでしょうか?
いつからなんですかね・・・ハウスメーカーとかが企業建築家などの言葉を使い始めてからかな・・・?

私は小学校の卒業アルバムで将来の夢に「建築家」と書いた気持ちの悪い子供だったんですが、これは近所に住んでいた叔父の影響で(叔父は企業に属する設計者でした)、同じクラスでもう一人「設計士」と書いていたヤツもいてどう違うのかなーなどと子供心に不思議に思っていました。

建築士は資格なので試験に受かって登録すればそうなります。
実際に建築設計の仕事をしていない人もいます。
施工側の資格として一級施工管理技士というものありますが、なぜか一級建築士はこれよりも上級資格で、工事業者が認可をもらうための技術者資格なんかにも使えます。

では建築家とは一体何なのかというと・・・実はこれはもう言ったもの勝ちだったりします^^。というか本来は人に呼ばれて初めてそうなるんでしょうね^^・・・。
一般の人は驚くかもしれませんが、世間では結構高名な建築家が建築士の資格を持っていないってことも珍しくありません(例えば誰なのかは営業妨害になるので言えません^^;)。
医師免許のない医師はブラックジャック以外いないと思うので、弁護士と法律家の違いに近いんじゃないでしょうか?法律家と名乗っている人の中には司法試験に合格していない人もいますよね?大学教授とか・・・。

世間で通りがいいということで、私も「建築家」という呼称を特に否定しない場合も多いですが、自分自身としてはかなり違和感があります。
まだそれを自ら名乗るには精進が足りないと思っているので(多分一生そうだと思う・・・)、人からそう呼ばれても小っ恥ずかしいです^^;。

自分では自分の職業を「建築設計職人」だと思っていますが、舌を噛みそうな呼称なのでそう名乗ることはありません^^。
ちなみに「トミオカアーキテクトオフィス」も舌を噛みそうな名前で各所から苦情を頂いております^^;。