蓄熱と電力のピークシフト

東日本震災関連の電力不足から個別の節電の他に、電気の需給バランスについての感心も高まっています。
電力の供給不足の問題は、端的に言えばピーク時の消費量の問題です。
なのでコンビニの夜間営業を控えるとかは全くのナンセンスです。
一番電気を使う時間帯の消費量をどうやって抑えるかが肝要です。

ピーク時以外の余剰電力をピーク時に回せればもうそれで解決しちゃうわけですが、ご存知のとおり電気はそのままの状態で保存することが難しいのです^^;。
結果貯めようと思えば何らかの形のエネルギーに返還しないといけません。
ダムなんかはピーク時以外には逆に揚水してエネルギーを溜め込みます。
これは電気エネルギーを位置エネルギーに変換して保存しているわけですね。

メジャーな電気エネルギーの保存方法には熱エネルギーへの変換があります。
大きい施設だと氷蓄熱なんてものもありますが、家庭用で分かりやすいのは電気温水器ですね。
需要の少ない時間帯の電気エネルギーをお湯という熱エネルギーに変換して保存しています。
水は蓄熱体としてそれなりに優秀かもしれませんが、容量としては限界がありますよね^^;。

で、日本の一般的な住宅で蓄熱に使えるパーツが他にないかと考えてみると・・・
あります。基礎のコンクリートです。
だから私はしつこく基礎断熱(基礎の外側に断熱をする)をやっているのです^^;。
従来の住宅では床下は外部と考えていましたが、基礎断熱では床下も家の内部空間の一部と考えてその外側に断熱を施します。
そうするとコンクリートの蓄熱に加えてもうひとつおいしいものがあります。
土です。土は自然の蓄熱材です。
なんで一番日が長い6月より8月が暑いのか?一番日が短い12月より2月が寒いのか?
これは全部自然の蓄熱(特に土)の仕業です。
基礎断熱ならこの土もまた住宅の蓄熱材として利用することが出来るわけです。
また、基礎断熱は基礎の外側に断熱層を設けるやり方と内側に設けるやり方の2種類がありますが、断熱性能はともかく蓄熱という観点からは蓄熱体(基礎のコンクリート)は断熱層の内側になければいけないので、コスト高になってもやはり基礎の断熱材は外側に設置したいところです。

住宅内の温度は、外部に比べて生活に適した温度に調整されますから、この温度を何らかの方法で蓄熱出来れば時間あたりの消費エネルギーを平均化出来るように思います。
今考えているのは基礎断熱の他に床上部分にも蓄熱できる部分があればいいなーということです。
石膏ボードは広く内装の仕上げ下地として使われていますが、なんとかこれを利用できないもんでしょうか?
内装下地なら外断熱ではなく充填断熱の場合でも断熱材の内側に蓄熱ができます。
混和剤などで蓄熱性能を持たせることが出来ればかなりの省エネ(ピーク時の消費を抑えるという意味で)になると思います。
そのうちチャンスがあればメーカーと共同研究などしてみたいものです。