「俺の家なんだからいつ建てようと勝手だろうほっといてくれ!」
ご無理ごもっともです。自分の土地に自分の住宅を建てるのに、一体誰に断りが必要なんでしょうか?しかーしいつでも勝手に建てられるかといえばそうもいかないんですなーこれが。
・確認申請の話
で、土地と建物にはいろーんな法律やら規制やらが働いてくるというのは今まで書いてきた通りなんですが、もしその規制に合致した住宅を建てようと思っても、勝手にいつでも作っていいというわけにはいかないんす。規制や法律に合致してますよって言うお墨付きをだれからかもらわなければいけない。建築士と呼ばれる資格を持っている人がそのお墨付きを出せるかといえばそうはなっていないんですねー。
結構「確認申請」という言葉は世間に知られるようにはなってきましたが、これがまあ上で言うお墨付きということなんです。これを出すには建築士ではなく建築主事という資格が必要になります。少し前まではこいつはお上の仕事であったわけですが、最近の規制緩和の流れの中で、民間でも建築主事の資格を持つ人がいる組織が、この確認申請の審査を行えるようになって来ました。
しかし民間も参入するくらいだからこいつがただというわけにはいかなくて、「お金を払うので色ーんな規制や法に合致してるかどうか確認してくだされ」という制度になっています。確認する方も人の子なので、結構見落としたりする部分もあったりするんですが、もしそんなのが後から見つかっても、ひどいときには建物が建っっちゃってから誰かが気づいたとしても、金をもらって確認してくれたはずの人はだーれも責任とってくれません。大概は設計者の責任になってしまいます。トホホ。
それならお金払ってまで確認なんかしてもらう意味ないじゃーんって言う人もいます。ホントそのとおりです。個人住宅なんかだとこの確認申請手続きをしらばっくれて建ててしまう人も昔は結構いたって話です。でもねーだめなんです。そんな事したら特定行政庁?早い話が各自治体が工事やめろっとか、完成してたら壊せとかどっかに移せっとか命令できるようになってます。それでもいやだってごねたら・・・私はやったことないので知りませんが・・・強制執行って言うことになるんでしょうね。自分の土地に建てた自分の住宅なのに、誰かに勝手にぶっ壊されちゃう。悲しー。
そうならないように今のところはお上の指示に従って、この確認申請というものをしておきましょう。日和見主義で行きましょう。
ちなみに土地のところで書いた都市計画区域外なら木造住宅の場合は、普通の大きさで2階建ての場合は確認申請は必要ないです(その他色々な要素で必要かどうかが決まります)。都市計画区域内なら10uを超える新築または増築で確認申請が必要になると思っておけば間違いないです。
この面積についてよく聞かれることに、じゃあ12uの増築だったら工事を2回に分けて6uづつやれば確認申請がいらないかってのがありますが、一回出した確認申請時から見て、10u以上になったところで確認申請が必要なので、1回目6uの増築は確認申請不要でも、2回目の6u増築時には申請が必要となりますのでご注意ください。
まあ確認申請手数料もそんな馬鹿高いというわけでもないので、出す必要がでたら出しておくのがいいとは思うんですが、新築時はまあいいとして、増築時なんかが問題です。なにかと出費がかさみます。もともとの建物をちゃんと設計事務所に依頼してた建物の場合はそんなことはないと思いますが、建売住宅を買われた場合など図面が全然ないなんて事が結構あります。中古住宅購入時も気をつけた方がいいですね。もちろん申請を出す出さないに関わらず設計事務所に増築なりの計画を依頼してもらえれば、きちんと法規に照らし合わせて構造的にも問題がないように計画しますが、一目瞭然で分かるようなことも、いちいち図面化するような必要が出てきます。(その分設計料が嵩んでしまいます)
増築時には既存建物図面が必要なことはいうまでもなく、確認申請時には原則敷地の正確な測量図が必須と思った方がいいです。新たに測量をかけると敷地面積uあたり1000円からとかいうのが相場みたいですが、どこが敷地境界線なのかはっきりしないような場合は、立会費だのなんだので数10万くらいすぐいってしまいます。あとは地盤調査データです。これも改めてやると簡易な方式でも一般宅地で5〜10万程度かかったりします。
これから土地や建物を購入される方はしっかりと図面と各データをもらうようにしましょう。いわないとくれなくて、いったらでてきたなんてことも結構あります。いうだけいいましょう。なんなら測量図をつけてくれといってみましょう。地盤調査データはあるならもらいましょう。なければちょっとこれはただではやってもらえんでしょうね。だめもとであるものはなんでももらっておきましょう。
あー話が本題からずれてしまいましたが、確認申請を出す場合には審査期間といって、建築主事が図面の中身を審査する時間が必要となります。本当は申請してから21日間とか審査期間は法律で決まってるんですが、特にお役所の場合はなにかといちゃもんをつけてきて、期日以内に終わらないなんてこともよくあります。というか期間内で終わるのは住宅ぐらいといっても過言ではないでしょう。役所の混み具合で決まってきます。早いときは確かに2週間とかの場合もありますがたてこんでると2ヶ月以上かかるなんてこともざらです。結構役所の審査の方は一生懸命働いているように思うので、一方的に責めるのは可哀想な気がしますが、民間の審査機関の場合、きっちり期日以内に審査してくれるのでやればできるんでしょうね。確認申請手数料は役所に出した方が若干安いので、時間に余裕がある人は役所に出すのもいいですね。急ぐ人は民間を利用しましょう。