新型コロナで見直してほしいこと
 2020年4月現在日本政府は全国に非常事態宣言を出し、国民の多くは外出自粛をしています。
もしかするとこの事態は社会構造や生活様式のターニングポイントになる可能性もあるような気もします。
今まで私が設計してきた家には、今からの新しい社会に対しても有効な部分が多々あると思っています。
お施主さんも忘れていることがあるかもしれないので、復習を兼ねます^^。
 
HPにはメイン空間や外観写真が多くなってしまうんですが、デザインや計画というのは見た目だけの話ではないのです。
これから計画する方々の参考になれば幸いです。

■書斎のススメ
施主の皆さん覚えてますか?
どんなに面積は厳しくとも書斎を作りましょう。あとであきらめないで作っておいて一番感謝されるのは書斎だと言ったことを^^。
新型コロナ騒動でテレワークも一段と進むことと思います。
もちろんリビングやダイニングにノートパソコンを置けば可能は可能だと思いますが、背景に余計なものが映りこんだり子供に邪魔されたり、ああ、こんな時に狭くても書斎があったらなと多くの人が感じていると思います^^。

廊下と主寝室とどちらからもアクセスできる書斎です。
予算の関係でまず最初にあきらめてしまうのが書斎ですが、作ってよかったと会うたびにおっしゃっていただいてます^^。


子供たちが椅子を並べて勉強ができるスタディーコーナー。隣接して書斎を設けています。
書斎は引き戸で廊下と繋がっているのでこもる必要が無いときはオープンにして一緒に机に向かいます^^。



旦那だけズルいということで奥様用の書斎を作ることもあります。
主婦業がメインの場合ははキッチンや水廻り付近にユーティリティという名称で作ったりしますが、
外での仕事をお持ちの場合や在宅ワークがメインの場合、夫婦それぞれの独立したスペースを作ることもあります。
ここではDENと名付けて寝室の横に設けました。大きさなんて畳一枚分でも十分です^^(そりゃ予算が許せば大きい方がいいですが)。



■玄関手洗いのススメ 
新型コロナに限らずインフルエンザでも風邪でも感染症予防の基本は、うがいと手洗いです。
最近では玄関近辺に手洗いを設けることも多くなりました。

玄関で靴脱いですぐ手洗い^^便所の手洗い兼用にしてしまえばさしたるコストアップにもなりません^^

上のふたつは水栓は自動水栓にしています。誰ぞの動画見本のようなしっかりした手洗いの時も水が無駄にならなくていいです。
細かい話ですが、排水は床ではなく壁でとると掃除がしやすくていいですね^^。

■個別換気のススメ
現在住宅でも24時間換気が義務付けられていて、多くの場合各部屋では外から自然給気して、
まとめてトイレや浴室などで機械排気することにしているケースが多いと思います。
しかし私の設計する家では多くの場合主寝室だけはそれとは別に、給気と排気を独立させています。
目的は遮音の為ですが(ドアの下に空気の通り道を作りたくない)、新型コロナのように軽症の感染者を家の中で
隔離するにはもってこいの仕組みだと思います。一部屋はそういう部屋があっていいのかもしれません。

エアコンの上の□と矢印のところから外の空気を入れて、下の方の換気扇で外に空気を出します。
主寝室の中で換気が完結しているわけです^^。

全熱交換器という室温をできる限り失わないようにしながら空気だけを入れ替える装置をつける場合もあります。

■外着置き場のススメ
本来は花粉症対策の為なんですが、ウィルスや細菌に対しても有効だと思います。
冬場であればコートや上着などは、メインの生活空間に入る手前で脱いで保管しておける空間があるといいですね^^。


これは二世帯住宅ですが、玄関から上がったところにそれぞれの外着用の小さなクローゼットを作り付けています。
因みに世帯は1階と2階で分かれていて、行き来できるのは玄関だけです^^。



これは土間収納にハンガーパイプを設けたパターンです。土間収納内だとコートに隔てて雨具をかけたりすることもできます。
ここでは湿度を感知して動く換気扇をつけて、湿気がこもらないようにしています。


ここでは玄関からリビングへの動線を2本作り、家族用は下足収納経由になっています。
左側に外着が掛けられるようにパイプを流しています。

■有線LANのススメ
今は家庭内でもWifiでネット接続する人が多いと思います。
ただWifiは電波の種類によっては電子レンジや家電の影響を受けたり、近隣住居の電波と干渉したりと不安定になる場合もあります。
テレワークなんかで重要な話をする時などには安定した接続が欲しいと言う場合もあると思います。
なので私は有線接続できる配線もするようにしています。
更にただの配線ではなくCD管というパイプのようなものを配置したうえでその中に線を入れてもらっています(今はカテゴリー6を標準にしています)。
これで将来的にはより高速対応の配線に入れ替えることもできます。


グレーは電線です。黒いパイプみたいなものがCD管です。この中にLAN用の配線をしています。
天井裏やら壁の中やらあとで電線を隠蔽しようと思えば大変です。

プランはともかく、中々に表に出てこない話も書きましたので、いかに丁寧に設計させてもらっているかを少しでもお分かりいただけると幸いです(だから時間もかかるのです^^;) 。