リフォームについて
自分の住まいをリフォームしようと思っても、いきなり設計事務所や建築家に相談しようと思いつく人は新築時より更に少ないかと思います^^;。
リフォームについての質問でまず最初に聞かれるのが「リフォームでも引き受けてもらえますか?」という事ですが、建築物の改修である以上もちろん仕事の範疇です^^。
で、なんでもかんでもドーンと任せておいて下さい・・・と言いたいところですがリフォームの場合は新築や建て替えと違って法律を含め技術的な制約が色々とあります^^;。
なるべくお役に立てる場合はご要望にお答えしたいと思ってるんですが、建築士とは単にデザイナーではなく技術者でもあるので無責任なことはできません。
以下簡単に私のスタンスを書いておきます(というか大体設計事務所や建築家のスタンスは同じだと思います^^;)。

●戸建住宅のリフォーム
・これはまず仕事としてお引き受け出来る場合と出来ない場合があります。
古い木造住宅の場合は図面が残っていないと言う場合が多々あります。また図面が残っていても実際の建物が全然違うと言う場合も多いのです。もちろん調査をすればある程度のことは分かるんですが、やっかいなのは壁の中がどうなっているかは壁をはがしてみないと分からないと言うことです。基本的に日本の木造住宅は構造的な強さを壁で生み出している場合が殆なので、この壁の中身が分からないと計画が難しいのです。だからといって闇雲に耐震壁を増やせばいいかといえばバランスが悪くなってしまうことも考えられます。
設計者として建物をいじる場合、使い勝手やデザインだけではなく建物自体の性能(耐震性など)を落とすような事は避けるべきだと考えています。ですから自分でしっかりと責任が持てる計画ができそうな物でなければお引き受けできない場合がどうしても出てきてしまいます。
じゃあどんなならいいんだというと、ケースバイケースですのでご相談ください^^;。
※既存図面などが無くても、例えばフルスケルトンと言って、骨組みだけ残してあとは全てやり替えるような場合はキッチリと、耐力壁の位置や現在の構造材の状態等が確認できるので、お引き受けできることが多いと思います。但し工事金額は一昔前の新築並みにかかると思った方がいいです。

●マンションのリフォーム
・これはお引きう受けできるケースが多いかと思います。木造の住宅に比べるとしっかりと作られているものが多いですし、図面が残っていて実際の建物もそのとおりに建っている事が多いからです(ここのところが重要です^^;)。ただ古い耐震基準で建っているものや、老朽化が通常以上に進んでいるような建物の場合は残念ながらご要望に添えない場合もあります。とにかく一度ご相談いただければと思います。
福岡市内はマンションもだいぶ老朽化したものが多くなってきましたが、リフォームすればまだまだ使える・・・というか快適に生活をできるようになるという物件は少なく無いと思います。中古マンションを購入してリフォームしてから引っ越すという方法も、生活のベースを街の中心部に考えるのであれば選択肢として十分ありだと思います。逆に新築のものよりこだわりを持った住居がコスト的には実現しやすいかもしれません^^。

●住宅以外のリフォーム・リノベーション
・書くまでもありませんが違法行為になるようなご依頼には応じかねます。店舗などでは平気で違法改装しているようなものが福岡市内にも溢れ返っています。
もしかしたら依頼主は違法であることに気付きすらしていないのかもしれませんが、人の命にも関わりそうな違法行為を平気でするのは、計画する方も工事する方も無責任すぎるのでは無いでしょうか?
あくまで法律の範囲内と言うことでどこまでどう改修出来るのかは、これまたケースバイケースですので一度ご相談ください。

●リフォーム・リノベーション全般について
・社会資本として建築物を捉えた場合、日本では天寿を全うできる建築物が少ないのは悲しい限りです。改修したり改装したりすればまだまだ使える建築物が取り壊されてしまうのは建築に関わるものとしてはなるべく避けるべきだろうと考えています(あと根が貧乏性なので勿体無いとか思ってしまいます^^;)。
2000万円の建物でも25年で壊してしまえば1年あたりのコストは80万円ですが、これが100年使えれば20万円、200年使えば10万円と言うことになります。もちろん改修やメンテナンスの費用はかかってきますが、それを合わせて考えても長く使った方が財布にもやさしいというのは当然のことです。ヨーロッパなどではきちんとメンテナンスされた建物は逆に新築時よりも評価が高まると言う考え方が根付いていますし、日本でもそうなっていって欲しいものです。
経済的な話だけではなく循環型へと社会の変換が叫ばれる中、既にある社会資本としての建築ストックをどう活かしていくのかはこれから益々重要なテーマになってくると考えています。
ただ設計料に関しては新築の場合の最低請負金額(200万円)とはもちろん違ってくるものの、工事費に対しての料率で考えると新築よりも高くなってしまう場合が多いです(大体15%以上になることが多いです)。工事金額が新築に比べて低額ということもありますが、実際に掛かる手間ヒマが新築以上であると言うケースも多いからです.。
また、リフォームの場合は現場で工事を進めながら判断することが多くなりますので、大規模な工事以外は福岡県及び周辺地域などお引き受けできる範囲も限定されて来るかと思われます。